民法改正で大家は敷金を原則として借り手に返すように明文化

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民法が明治時代の制定以来、約120年ぶりに大改正されます。

政府が2015年3月に国会に提出し、公布から3年以内に施行されます。

約200項目を見直すそうですが、主な改正には以下の項目があります。

  • 法定利率を5%から3%に引き下げ。3年ごとに見直す変動制を導入。
  • 飲み代のツケ払いの取り立て期間は「権利を行使できると知ったときから5年」に統一。
  • 第三者が個人で連帯保証人になる場合には、公証人による自発的な意思の確認を必要。
  • 賃貸住宅を借りた時の敷金は原則として返すように明記。

この中で一番生活に密着した部分での変更は、最後の「敷金は原則として返すように明記」だと思います。

資金は原則として大家から借り手に返済することに

世の中では一戸建てや分譲マンションを購入する人もいますが、多くの人は賃貸で部屋を借りています。

賃貸契約する時、敷金と礼金を初月の家賃以外に払います。

10年ほど前なら、敷金・礼金は2ヶ月が当たり前でした。

家賃が10万円なら、最初に50万円を用意する必要があります。(初月家賃10万円+敷金20万円+礼金20万円=50万円)

しかし、ここ数年は人口は減少しているのにアパートは増えていて、空室率が上昇し、「敷金1ヶ月、礼金1ヶ月」や「資金2ヶ月、礼金0ヶ月」なども増えていきます。

まれに、「最初の家賃が0円(フリーレント)」という物件もありますが、あれは空室期間が長い部屋が多いです。申込への敷居を下げるために、初月家賃0円にしています。

今回の民法の改正で、資金は原則として大家から借り手に返済することになりますが、その背景には退去時に敷金をめぐるトラブルが耐えないからです。

国民生活センターへの「退去後に敷金を返してもらえない」などという相談は、2015年度で1万4211件もあったそうです。

そもそもとして、家賃だけでなく、敷金と礼金も大家にとって重要な資金源となっています。

学生街でワンルームマンションが流行ったのも、そもそもの学生の需要もありますが、大家側からしてみると、長くても4年ごとに敷金と礼金が入るという側面もあったからです。

短大だったら、2年ごとに敷金と礼金が入ります。

しかし、礼金という制度は日本で住宅が少ない時代に作られたものです。

つまり、住宅に対する需要に対して供給が少ない時代に、大家さんに対する部屋を貸してくれたお礼として礼金を払うことが始まりました。

でも、今は部屋あまりの時代です。

大家からしてみると、「部屋を借りてくれてありがとう」「空室を埋めてくれてありがとう」という時代です。

なので、礼金という制度も民法でなくすように明文化して欲しいと思っている人も多いと思います。

実際、高級賃貸になると、礼金なしの物件は多くなります。その代わり、敷金が4ヶ月と増えることが多いです。

大家側からしてみると、今回の民法の改正で敷金を退去時に返済するものとなったので、礼金に対する依存度がさらに上がることになると思いますが。

何れにせよ、退去時のトラブルは貸し手・借り手の両者にとって疲れるだけなので、今回の民法の改正はよかったと思います。

参考:契約、消費者保護に軸足 民法、120年ぶり大改正  法定利率下げ/連帯保証を厳格化/敷金返還の明記…低金利・ネット普及背景:日本経済新聞

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